第20回 谷静香さん
1.がんがわかったきっかけについて
私のがん種は 卵巣がん です。2020年(42歳)にがんが見つかり、12月に右卵巣を摘出。その後、2022年4月に再発がわかり、左卵巣と子宮を全摘出しました。治療を続け、現在は3か月に1回の経過観測をしています。
がんに気づいたきっかけは不妊治療でした。子宝に恵まれず、40歳でクリニックに通い始めました。様々な検査をし、体を整えて、ようやく本格的に治療をスタートしよう!という時に、エコー検査でがんが見つかりました。
がんが見つかった時、ショックではありましたが、「怖い」「不安」という思いはありませんでした。早期に発見できたからかもしれません(2019年に夫が精巣がんで手術し、すでに元気な生活を取り戻している様子を見ていたことも大きな理由だったと思います)。
とにかく早く治して、早く元の生活に戻りたい!どちらかというと、こういった前向きな気持ちが強かったように記憶しています。
2.治療について:治療方針をどのように決定したか?検索した情報サイトがあれば教えてください
2020年の治療は、右卵巣切除の手術の後、TC療法という2種類の抗がん剤を組み合わせて行う化学療法を3回行いました。
この時の手術では、その後の私の人生を左右するような大きな選択をしました。それは、片方の卵巣を残す 妊孕性温存手術をするか否かです。先生からは全摘手術を勧められていました。しかし、この時の私にはがんが治るイメージしかなく、自分で子どもを諦めるという選択肢は全くありませんでした。もちろん家族にも相談したうえで、右卵巣のみの切除に決めたのです。
後日知ったのですが、家族は皆、この時、全摘手術を希望していたということでした。しかし、私の選択を嫌な顔一つ見せずに受け入れてくれたことを今でも心から感謝しています。もし全摘手術を受けていたら、再発はしていなかったかもしれません。でもその場合、子どものいない人生をきっと誰かのせいにして生きていたのではないか・・と思います。
2022年の治療は、左卵巣と子宮の全摘手術をし、5回のTC療法(本当はもっとやる予定でしたが、薬のアレルギー反応が出てしまい5回で終了)、その後、分子標的薬のゼジューラを3年間服用し、今に至ります。
2020年の時は、『先生に提示された治療を理解したうえで受けていく』というスタイルでした。自分から情報を探すことはあまりしていなかったように記憶しています。
2022年の再発の時は、横隔膜までがん細胞が散っている可能性もあり、先生から「薬が効かなかったら長くないかも…」「再発の治療は『治す』という考え方ではなく、『今の良い状況を少しでも長く保ち、少しでも長く生きられるようにする』治療方法になる」と言われたことで、自分の置かれている状況をようやく理解し、私の世界は一変しました。
初めて死を近くに感じ、暗くて重い絶望の中に落ちていったことを、今でもはっきりと思い出します。思考が停止しがちな私に代わって、夫が『今、私が置かれている状況の理解のため』『これから受けるべき治療は何か』『私にどんな治療の可能性があるのか』の情報を積極的に得るようになりました。
この時に頼りにしたサイトは《がん情報サービス》です。また、コントロールしきれない感情を整理するのにとても助けられた本があります。清水研さんの著書『もしも一年後、この世にいないとしたら。』です。お悩みの方がいたら、是非参考にしていただければ嬉しいです。
がんの治療当時は福島県に住んでいたのですが、再発して自分の状況を知った時、家族のいる神奈川県に戻ることに決めました。
結果、はからずして転院することになったのですが、そのおかげで『同じ病気でも病院が変わると治療も変わる』ということを知りました。神奈川の転院先選びも、自分の病気に主体的に関わり始めたきっかけになっていると思います。
3.がんを体験したからこそわかったこと、伝えたい思いを教えてください
がんになったから気づけたことは、たくさんあります。
『1年後を想像できることはとても幸せなことだ』ということ。死を近くに感じてから、当たり前にある生活を送れるのは、特別なことだったということに初めて気がつきました。当たり前が普通にできる毎日に、今は日々感謝しています。
『不安な時は、何が不安なのかを知ることが不安解消の一番の近道』ということ。
『出来ないことを数えるより、出来ることを数えると楽しめることが増える』ということ。私は70日おきの通院の合間をぬって、1年半かけて車で日本一周の旅をしました!
『寄り添うことで人は救われる』ということ。私がつらい間、寄り添ってくれた家族には感謝してもしきれません。本当に救われました。
《寄り添い》とは何なのか、私にもはっきりした答えはまだわかりませんが、今は『相手と同じ目線で物事を見ること』だと思っています。一人でも多くの方に寄り添って、あの時の私のように暗い世界でもがいている人の気持ちが少しでも晴れていくような、そんな一助を担えたらうれしいです。
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