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日本がん登録協議会 > 精巣がんの患者生存率の施設間格差が判明した事例
精巣がんの患者生存率の施設間格差が判明した事例[2024.03.28]

精巣がんの患者生存率の施設間格差が判明した事例

分野 3.臨床医学(3次予防),5.疫学研究・研究推進
活動時期 2001年
活動地域 大阪府
活動主体 大阪府地域がん登録
 
背景
主な活動内容 1975年から1992年の間に診断され、大阪府がん登録に登録された精巣がん患者709名に対して転帰追跡および生存分析を行った。
成果 大阪府の患者の5年生存率は75.2%であり(90-92年に限れば77.9%)、欧米諸国での値に比べ非常に低く、旧共産圏のスロヴェニア、スロヴァキア、ポーランドと同等であることが判明した。 生存率には医療施設の規模との相関があり、大阪府立成人病センターで1975-93年に診断された113名の患者については、5年生存率が91.5%と、欧米諸国に匹敵する数値であった。 1977年にEinhornらによって進行精巣がんに対する有効な化学療法薬剤の組み合わせに関する臨床試験の結果が発表されて以来、精巣がん患者の予後は飛躍的に向上した。 大阪府立成人病センターのデータでも、80年以前に診断された19名は75.2%(95%CI :55.4-95.0%)、81-86年の40名は90.7%(81.3-100.1%)、87年以降の54名は97.8%(92.7-102.9%)と、80年代前半での大きな変化が伺える。 この研究の結果は、患者のかかる医療施設の規模が、他の要因を調整した後も有意な予後規定要因であり、精巣がんに有効である化学療法が府内各医療施設で採用されるまでに時間的・地理的な遅滞があることを表している。 地域がん登録での転帰追跡により大阪府内医療施設の治療水準格差が浮き彫りになり、大阪府内の患者、ひいては国民に分け隔てなく質の高い治療を提供するための政策決定に、がん登録事業は非常に有用であることを示す一つの事例である。
導入および確認された制度・法律・学説
主要文献 Oshima, A., et al., Survival of testicular cancer patients in Osaka, Japan. Jpn J Clin Oncol, 2001. 31(9): p. 438-43.