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日本がん登録協議会 > 県内の肝疾患に関する実態調査 |
県内の肝疾患に関する実態調査[2024.03.28] |
県内の肝疾患に関する実態調査
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分野 |
4.がん統計 |
活動時期 |
1998年 |
活動地域 |
長崎県 |
活動主体 |
長崎県がん登録室、長崎県総合保健センター、長崎県福祉保健部 |
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背景 |
長崎県のがん死亡率は全国的にみて高位にある。その中でも死亡率の高い肝がんについて罹患の実態調査を行ない、今後の本県における肝疾患に対する保健指導のあり方を検討するための基礎資料とする。 |
主な活動内容 |
1. がん登録データに基づく1985-1995年の11年間における本県の肝がん罹患実態調査。
2. 県内でも肝疾患の多発地域である五島において1998年11月16日-1999年1月31日に住民検診を受け肝機能について要精検の判定を受けた人を対象とした生活習慣等のアンケート調査。 |
成果 |
1. 罹患調査:(1) 男女比は2.7と男性に多く発症するが、肝内胆管がんに限ると、1.2と男女差はみられなかった。(2) 発症年齢のピークは男性60-64歳、女性65-69歳であった。肝内胆管がんに限ると男女とも70-74歳であった。(3) 診断時のstageの判明している症例(全体の28.7%)についてその内訳をみると、限局64.0%、隣接臓器浸潤7.4%、領域リンパ節転移3.7%、遠隔転移23.9%と、限局の割合が高かった。(4) 治療全体の15.0%が手術を受けており、そのうち31.0%が治癒切除であった。TAEは全体の28.1%に行なわれており、11年間通じ増減はほとんど認められなかった。一方、PEIT は1989年より少しずつ増加し始め、1989年の4.3%から1995年の12.3%に増加した。(5) 予後1985-1994年罹患者の内DCO症例を除く3,968例についてカプラン・マイヤー法で3年生存率を求めた。死亡および死因の確認については、1997年12月までに県内で得られた全死亡小票との照合により行なった。1985-1989年の罹患者と1990-1995年の罹患者を比較すると前者は25.9%、後者は40.3%と生存率の向上が認められた。(6) 肝炎抗体の関与について1995年罹患者についてみると、B型肝炎が男性の11.8%、女性の7.2%に認められた。C型肝炎に関しては、男性の33.5%、女性の31.6%に関与が認められた。(7) 地域別罹患率年齢調整罹患率を用いて地域別比較を行なったところ、低い地域と高い地域の間に2.5倍の開きが認められた。(8) 罹患率の年次推移年齢調整罹患率で年次推移をみると、男性は1991年以降減少に転じていたが、女性では11年間を通じほぼ横這いの状況であった。
2. アンケート調査:(1) 職業について現在の職業は無職23.9%、専業主婦22.5%、農業18.3% の順で多かった。過去最も長く従事した職業では農業21.9%、専業主婦17.0%、漁業16.3%の順に多かった。(2) 喫煙現在吸っている人19.1%、やめた人16.9%、吸ったことがない人64.0%であった。(3) 飲酒ほとんど飲まないが60.5%、毎日飲むが21.5%であった。(4) 輸血歴15.5%に輸血歴があった。(5) 肝疾患の家族歴22.9%が身内に肝疾患ありと答えた。(6) 既往歴及び現病歴77.7%に高血圧が、23.6%に肝疾患が認められた。肝疾患治療中の92例中59例は慢性肝炎で、うちC型肝炎が26例であった。(7) 検診受診歴検診を毎年受けている人が87.5%を占めていた。(8) 肝疾患で要医療とされた人の受診態度75.5%はすでに病院を受診していたが、24.3%は未受診であった。 |
導入および確認された制度・法律・学説 |
上記成績は「長崎県における肝疾患に関する実態調査」としてまとめられ、県内の保および健医療関係機関に配布された。 |
主要文献 |
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