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府内のがん医療の需要量をがん登録資料で算定し、地域のがん医療計画策定の際に用いた例[2024.03.28]

府内のがん医療の需要量をがん登録資料で算定し、地域のがん医療計画策定の際に用いた例

分野 1.がん対策・企画(1次予防),3.臨床医学(3次予防),5.疫学研究・研究推進
活動時期 1975年~1991年
活動地域 大阪府
活動主体 大阪府地域がん登録
 
背景 1. 従来、大阪府下の一地域は、中小規模の病院が多く、基幹病院が少なく、がん医療については、大阪市内の医療機関に頼るところが大きかった。そこで、大阪府の医療圏別に5 年相対生存率を算出、比較した。
2. 上記とは別に、公立病院の改築、新築に際し、がん医療の需要量をがん登録資料に求める気運が現れた。
主な活動内容 1. 1981-83年の届出罹患者について、大阪府の医療圏別に5年相対生存率を求めた。大阪府下全域と当該地域とで比較すると、全部位では36.9%対31.9%(有意差あり)、胃がんでは39.0%対30.0%(有意差あり)、結腸がん40.4%対38.4%、直腸がん42.9%対36.4%、子宮がん37.9%対62.6%、などとなった。
2. 各医療圏ごとにがん患者の医療の完結度を調べた。上記地域では、他地域にくらべ、大阪市内まで出てきて、がん医療を受ける者が多く見られた。
3. 隣接地域において、市立病院の改築が準備された時、周辺地域でのがん患者の医療状況の提供を求められ、これらのデータを提供した。
4. 大阪府立成人病センター新病院建設時にも、大阪府のがん患者の罹患状況の成績から、がんの部位別建設予定病床数を算定するなど、新病院の建設計画の促進に役立てた。
成果 府下地域における上述の成果を大阪府衛生部、大阪府医師会に通知し、以下の諸施策が検討された。1) 府立医科大学の建設、或は私立医大の誘致計画2) がん医療の充実を目指した市立病院の機能強化計画これらの計画は、それぞれ制約があって、いずれも進行しなかった。現在、改めて患者の受療状況、生存率などを調べ、がんについての地域医療計画を準備しなければならない。
導入および確認された制度・法律・学説
主要文献 1. 大阪府環境保健部,他:大阪府におけるがん登録第49報.大阪府がん患者の5年相対生存率とその推移.平成3年.
2. 藤本伊三郎:地域がん登録の意義とその応用.大阪府医師会報,No.173,55-71, 1980.