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府のがん患者の生存率の測定の算出によるがん医療・対策の評価[2024.03.28] |
府のがん患者の生存率の測定の算出によるがん医療・対策の評価
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分野 |
1.がん対策・企画(1次予防),3.臨床医学(3次予防),4.がん統計 |
活動時期 |
1975年~1989年 |
活動地域 |
大阪府 |
活動主体 |
大阪府地域がん登録 |
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背景 |
大阪府ががん登録事業を開始(昭和37年)して15年を経過し、漸く活動も軌道に乗ったので、がん医療水準の最も確実な判定指標である5年生存率を計測することとした。当時、わが国の地域がん登録事業で、生存確認調査を行って生存率を計測した登録は他になかった。なお、この数値から、がん医療、がん対策の評価を行うことを目指した。 |
主な活動内容 |
1. 大阪府がん登録室は毎年、登録患者と、がん死亡票、全死因死亡テープと照合して、死亡者を定めている。
2. 大阪府がん登録ファイルより、診断後5 年経過した生存罹患者を抽出し、住所地ごとにリストを作成する。このリストをもって住所地の市町村役場で住民登録を閲覧し、生死を確認する。
3. そのデータを入力し、5年相対生存率を計算する。
4. 届出票に記載された臨床進行度、診断のための検査、手術実施状況、進行度別の生存率などを総合して、生存率向上の理由と、今後の方策をさぐる。 |
成果 |
1. 1975-77年と1987-89年との成績を比較すると、5年相対生存率は、全がんで30.4% から41.2%に上昇した。
2. 部位別にみると、高位群(乳房、子宮、膀胱など、生存率は60-80% )、中位群(全部位、胃、結腸、直腸、リンパ組織など、20-50% )、低位群(肝、胆のう、肝、膵など、0-15% )に分かれ、前二者の生存率は、年次とともに上昇したが、低位群の生存率は低く止まっていた。
3. 大阪府で高率に発生している胃、肝、肺の3 部位のがんについて、生存率の上昇に関与した因子を調べた。1) 胃がん:内視鏡、細胞診/組織診などの検査率の向上が、限局の者の割合、および手術率を向上させ、これらと、治療法の改善とが相まって、生存率を向上(27.9%→47.2%)させた。2) 肝がん:内視鏡、エコーなどの検査率の向上が、病巣限局患者の割合、ならびに手術率の向上となり、治療法の改善とが相まって、生存率は向上(1.6% →9.1%)したが、限局患者の生存率が元来低い(2%→16%)ので、全体として低位に止まった。3) 肺がん:内視鏡、細胞診/組織診の検査率は向上したが、限局患者の割合は増加せず(20%→17%)、限局患者の生存率の上昇(20%→46%)はあっても、全体として生存率は低位(6%→12%)に止まった。 |
導入および確認された制度・法律・学説 |
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主要文献 |
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