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日本がん登録協議会 > 原爆被爆者の放射線によるがん発生リスクの臓器別・年齢別長期縦断調査 |
原爆被爆者の放射線によるがん発生リスクの臓器別・年齢別長期縦断調査[2024.03.28] |
原爆被爆者の放射線によるがん発生リスクの臓器別・年齢別長期縦断調査
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分野 |
4.がん統計,5.疫学研究・研究推進 |
活動時期 |
1947年~2013年 |
活動地域 |
広島県、長崎県 |
活動主体 |
放射線影響研究所(広島、長崎) |
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背景 |
原爆被曝による健康影響を明らかにする |
主な活動内容 |
昭和25年に原爆被爆者12万人のコホートを設定し、約50年以上にわたって追跡している。その間、死亡調査、ならびに広島・長崎両地域がん登録からがん罹患情報と詳細な推定被曝線量から、被曝線量とがんとの関連を調査した。 |
成果 |
1. 急性放射線被曝によりほとんどの固形がん(白血病以外のがん)のリスクは生涯を通じて増加する。
2. 1950-1990年までに、結腸線量で0.005Sv以上の線量に被曝した約50,000人のうち、固形がん死亡は4,565名であり、過剰死亡例は334例であった。この線量反応関係は線形のようであった。
3. 胃、肺、肝臓、結腸、膀胱、乳房、卵巣、甲状腺、皮膚などの主要な固形がんおよび多発性骨髄腫には、過剰な放射線リスクが有意に認められ、他の部位についても有意ではないが、リスクの増加が認められている。
4. 白血病については、放射線による白血病の相対リスクは固形がんよりも大きいことが分かった。
5. 白血病は被爆後、早期に増加し(特に子どもで顕著)、以後減少を続けた。 |
導入および確認された制度・法律・学説 |
原爆被爆者におけるがんのリスク係数は、放射線発ガンの生涯リスクを推定する基礎資料として国連原子放射線影響科学委員会(United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation; UNSCEAR)、米国学士院における電離放射線の生物学的影響に関する諮問委員会(Biological Effects of Ionizing Radiation; BEIR) に広く用いられ、推定生涯リスクは放射線防護基準を決定するための資料として、国際放射線防護委員会(International Commission on Radiation Protection; ICRP )で使用されている。 |
主要文献 |
1. Pierce, DA, et al. Studies of the mortality of A-bomb survivors. Report 12. Part I. Cancer: 1950-1990. Radiation Research 1996; 146: 1-27
2. Thompson DE, et al. Cancer incidence in atomic-bomb survivors. Part 2: Solid cancers, 1958-1987. Radiation Research 1994; 137, S17-S67
3. Preston, DL, et al. Cancer incidence in atomic-bomb survivors. Part3: Leukemia, lymphoma, and multiple myeloma, 1950-1987. Radiation Research 1994; 137, S68-S97 |
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