第19回 若林公江さん

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1.がんがわかったきっかけについて

病気は突然やって来る。そして予兆はずっと前から現れていた。そんなわかりきったことも意識せず過ごしていました。

2018年5月3日、友人と湯河原に遊びに行き、昼食には美味しいお蕎麦を大盛りで楽しみ、足湯に行き、帰りにはパフェを食べようとファミレスに入りました。
 そして「その時」が来ました。

 突然の腹痛で立ち上がることも出来ないほどでした。そこから救急搬送され入院しました。
 お腹の中はグルグルと下痢らしいのに排便できない腸閉塞に近い状態で、下剤での処置で症状が落ち着いた後、大腸内視鏡検査を受けることになり、ゴールデンウィーク最中にもかかわらず検査していただき、「大腸S字結腸の腫瘍による狭窄」と診断され、がんであることが告知されました。

2.治療について:治療方針をどのように決定したか?検索した情報サイトがあれば教えてください

病理検査の結果、「S字結腸部がんステージⅡb~Ⅲa」でした。手術に向け家族で話し合い、長くなるであろう通院やサポートしてもらうことなどを考え、転院して治療することになりました。

転院して次の病院で初診を受け3日後に腹腔鏡による手術…と事の大きさを感じる間もなく過ごしました。
 普段から持病もなく、健康診断でも治療や投薬の必要がなかったので、病気について特に考える事もありませんでした。下血もありましたが、多くの方がそうだったように”痔“だと自己診断して便秘と下痢を繰り返しても体調の変化と片付けてしまっていました。
 幸いにも私の不安に丁寧に答えてくださる主治医に出会え、入院中も安心してお任せしました。

その後、通院で化学治療、抗がん剤の投与となり、オキサリプラチン点滴、ゼローダ服用、休薬を8クール(血小板の減少により一回点滴出来ず)行いました。
 点滴の翌日あたりから激しい下痢、めまい、吐き気など辛い時期もありましたが、“これが闘病体験”と思い、今まで自分の体に無頓着であった事を反省しました。
 2023年6月、5年を経過し寛解と言われた時は本当に嬉しくホッとしました。

3.がんを体験したからこそわかったこと、伝えたい思いを教えてください

日本人の二人に一人ががんを体験する時代ですが、私という一人の人間にとってそれは大きな出来事でした。命の不安、再発の怖れ、身の回りの始末、治療費など、考えたこともないことが治療中の体力のない体にのしかかるように襲って来ました。

そんな中で所属教会の牧師が探して下さった「がん哲学外来カフェ」に巡り会い、「傷を舐めあうような仲間は要らない」から「体験を通してお互いを励まし合う」に変えられ、小さなきっかけから一人のサバイバーとして「メディカルさくらカフェ」のスタッフの一員として細々と学びながら活動しています。
 がんになって不運を泣くのではなく、力を抜いて「笑顔で今日も生きている」と感じています。そしてがんになったからこそ出会いを大切に、与えられた知識とつながった人との絆、私だけの人生を大切に大切に生き抜こうと思わされています。

人は一人で生きているのではない、誰かのためにできることをと教えられ、私は今、ヘアドネーションのために髪を伸ばしています。誰かの笑顔のために。


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