第18回 関根徹子さん

1.がんがわかったきっかけについて

直腸がんの手術の数年前より、痔の症状があって(出血も少量で、出たりでなかったり)軟膏を多めに出してくれる肛門科の病院にかかっていました。

2020年、6月頃、えんぴつのような細い便が出て、便を出したくても、なんだかうまく出ないという症状と腹痛、軽い貧血、息切れの症状も出ていました。そんな中、7月に入って血のかたまりが、1日に2回も出て、家から一番近い肛門科のある病院へ。症状を伝えると、先生の顔が急にこわばったのを、今でも覚えています。
 そこでは、直腸診、レントゲン、CT、臨時で内視鏡検査をしました。

翌日、近くの大学病院へ紹介状と検査結果を持っていくと、「大きいできものが直腸をふさいでいて、腸閉塞を起こしかけているので、このまま入院して、1週間後に大きいできものをとります」と言われて、まさに青天の霹靂。
 手術の1週間前から入院をしましたが、なんだか他人事のようでした。手術が終わり、病理検査結果を聞いたときに、大変な病気になってしまったと、事の重大さを実感することになりました。

2.治療について:治療方針をどのように決定したか?検索した情報サイトがあれば教えてください

肛門に近いところに直腸がんがあり、腹腔鏡下低位前方切除術と一時的人工肛門増設術の手術を行いました。

病理検査の結果、直腸がんステージⅢbとわかり、リンパ節に5個転移していたので、再発予防のための、標準治療ゼロックス療法の説明を受け、主人とも話し合い、ゼロックス療法を受けることを決めました。
 ゼロックス療法とは、オキサリプラチン(点滴)と、ゼローダ(飲み薬)の組み合わせの治療方法です。主な副作用は、手と足に、感覚異常、痛み、腫れ、しびれ、皮膚が厚くなるなどの症状。わたしは、他にも、目の奥が痛かったり、喉の奥の違和感、食欲不振などさまざまな副作用が出ていました。

治療について何か調べるとか、誰かの体験談を読むとかは、あえてしませんでした。「抗がん剤=苦しくてつらい」というイメージがあり、かなりの恐怖心で、治療に対して身構えてしまうと思ったからです。
 それよりも、わからないことや、副作用のことは、全部、主治医の先生に一つひとつ聞いて、理解するようにしました。3週間に一度の通院治療でしたので、主治医の先生と、かなりコミュニケーションがとれて、治療に臨めたと思っています。

2020年の8月からスタートした、ゼロックス療法は、副作用の出方や、人工肛門閉鎖術(約4か月間人工肛門生活)の時、休薬したり、減薬したりして、8クールの治療を、約8か月間受けました。
 その後、経過観察の通院となり、心の余裕が出てきた2023年より、自分の体験談をブログに投稿しはじめました。また、SNSの女性消化器がんサバイバーのコミュニティ『ピアリングブルー』にも入り、コメントを通して、会員のみなさまとつながっています。

押川勝太郎先生の『がん防災チャンネル』のYouTubeや、『直腸がん大事典』のYouTubeを見て、今も学んでいます。月に1回のがん哲学外来カフェでは、対面でおしゃべりを楽しめる、ほっとできる場所となっています。
 「がんになっても、ひとりじゃない」という、安心感と勇気をいただいています。

3.がんを体験したからこそわかったこと、伝えたい思いを教えてください

2人に1人が、がんになる時代、医療技術の進歩で、がんと共存して生きていけるようになってきました。
 また、SNSが発達しているこの時代は、たくさんの情報の中から、自分に合ったものを選べるようになり、同じがんサバイバーとして励ましあいながら、つながりを持つこともできるようになりました。がんになって、ご縁をいただきましたみなさまは、一生の宝物です。

わたしは、人工肛門を閉じてから排便障害があって、日ごろから、排便コントロールが必須となっています。SNSコミュニティ『ピアリングブルー』でのつながりで、「悩んでいるのは一人だけじゃない」と思えるようになって、心がかなり解放されるようになってきました。
 また、がんになって、主治医の先生をはじめ、かかわってくださった医療関係者のみなさま、家族や友達、がんを通して知り合ったみなさまなど、たくさんの人たちに支えてもらって今のわたしが在る、ということをあらためて感じ、本当にありがたく思っているところです。

わたしは、ヨガ歴15年ほど。そこで毎回先生に言われてきたことは、「体の声を聞きなさい」です。がんサバイバーとなった時から、このことばの意味をかみしめながら、日々生活しています。
 「動きたいのか、休みたいのか。体のどの部分のケアが必要なのか。体のどこの部分が冷えて血流不足になっているか。体に負担のかかってない食事かどうか」そして、いつも自分に、「どうしたい?」と自問自答しています。

やはり、体の声を無視して、「がまんして、がんこになって、がんばる」と、体が悲鳴をあげて、大きな病気につながりかねません。まずは、自分の心と体のことを一番ケアしたうえで、まわりの人たち(家族や友達など)へサポートをするという順番が、とても大切だと実感しています。
 わたしは、指ヨガや、三井式温熱療法、呼吸法、筋肉トレーニング、カイロプラクティックでの筋膜はがしなどで、体を整えています。また、消化器がんを患ったので、口からいれるものは、かなり気を付けるようになっています。

女性の大腸がんは年々増加傾向にあります。わたしは、50代半ばで、直腸がんになりました。
 40代~50代は、子育てや、介護などで忙しく、自分の体調のことは後回しになりがちです。お尻からの出血は痔だと思いやすく、また、貧血、だるさ、息切れなどの体調不良の症状は、更年期症状と思い込んでしまいがち。ついつい、病院へいくのも、遠のいていく年代です。
 これも、「体の声を聞く」ということにつながりますが、40代になりましたら、1年に1回の便潜血検査を受け、要検査となりましたら、すみやかに内視鏡検査を、また、体調がおかしいなと思ったら早めに病院で受診する勇気を、みなさまにお伝えたいと思います。

ブログ 「大腸がんサバイバーてんとうむしママのひとりごと」:https://ameblo.jp/soralalamie/
YouTube「指ヨガで元気になろう」:https://www.youtube.com/@tentoumushi369


体験談一覧はこちら ⇒ 【体験談】