第17回 角田歌織さん
1.がんがわかったきっかけについて

20代の頃から慢性の便秘だった私。自然と排便がないのが日常の事でした。深夜の腹痛と嘔吐も「便秘が酷いのかなぁ」ぐらいの軽い感じで近所の病院に行きました。
思い返してみれば、その病院での先生や看護師さんの対応はひどく焦っていて、CTの画像には、腸閉塞の画像がはっきりと映っていたんだと思います。
ただその時はまだお昼にハンバーグを食べたいなぁと呑気に思っていました。
2.治療について:治療方針をどのように決定したか?検索した情報サイトがあれば教えてください
すぐに総合病院に紹介状を書いていただいて緊急入院になりました。
腸閉塞はステントを入れ、大腸がんの手術は身体の回復を待って1ヶ月後に決まり、いろんなことが悩む間もなく進んで行きます。
この頃は検査や保険の手続き、家族への対応、職場への連絡などいろいろな準備に追われていたのでさほど落ち込んではいなかったような気がします。
手術後、主治医とICの時に私のがんは大腸を飛び出し、腹膜播種をしている、「ステージ4」です、と告げられたときにやっと実感が湧いてきて、ああ 私はもう終わりなんだと絶望して泣き崩れました。
それと同時に受け入れたくない、信じたくないとの怒りも感じましたね。
先生は、言いにくそうに悪いことばかりを話すけど、罹患しても元気な人 治療が上手く行ってる人も居るはず!と思い患者会やネット検索をしだしました。
そのに出会えたのが消化器がんのSNS「ピアリング・ブルー(Peer Ring "Bleu")」です。世の中に私と同じくがんに罹患して頑張っている方がこんなにいるんだとびっくりしました。
初めはどうしたら良いかわからず泣いてばかりの私でしたが、同じく治療を頑張っている仲間からのメッセージ、オフ会での交流などでまだまだ終わりじゃない、これからなんだなと気持ちの変化が生まれました。
3.がんを体験したからこそわかったこと、伝えたい思いを教えてください
この文章を読んでいる方で病気になりたい方、がんになりたい方は1人もいないと思います。
もちろん私も罹患して人生が変わったし、なりたくなかったと思っています。
ある日突然、私に降り掛かってきた大事件で、憎き宿敵です。私はその宿敵にただただ完敗して嘆き悲しんで全てを台無しにされるのは嫌なんです。なってしまった過去を変える事はできないけど、未来は私の力で変えられる。未来は占い師でも医師なく私が楽しくなるように決めて行きたいんです。
がんにならなかったらわからなかったこと、気づけなかったこと、たくさんあります。
罹患したからこそ会えた仲間、人の優しさ、もしかしたらメリットもたくさんあって、今の私になっている、過去の私より強くなれた私はレベルアップしたんじゃないか、とさえ思えるんです。
がんになって下を向いている人がいたら前を向けなくても目を横にずらす事だけでもして欲しいと思っています。目線を少しかえるだけで楽になれる事もあると思うんですね。
サバイバーライフはとても長旅です。ずっと頑張っていたら息切れする事でしょう。時には休んで、ときにはつまずいて。私は転んでもなにかを掴んで立ち上がりたい。転んだ痛みは傷になるけど私の経験値はレベルアップすると思っています。
私もまだまだ旅の途中、「レベル20ぐらいかなぁ」。これからも経験値を上げていろんな仲間と出会い、素敵な自分になっていきたと思います。
何より、助けてくれた仲間のように私も罹患して辛く苦しんでる方に手を差し伸べられるような勇者でありたいと思っています。そしてこの場を借りて私に関わる人すべての人にお礼を伝えたいです。本当に感謝しています。
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