第16回 矢島正美さん
1.がんがわかったきっかけについて
「もうヤバい。この出血の量は…」
2022年9月に、覚悟を決めて産婦人科を受診しました。診察後、医師に「いつもより生理の血の量がちょっと多いみたいなのです」と伝えると、白髪混じりの年配の医師は眉間にシワを寄せ、ため息混じりにこう言いました。
「これを、生理だと思うのですか」
そして、低い声でこう続けました。
「子宮頸がんは間違いないでしょう。詳しくは、すぐに大学病院を受診してください」
申し遅れましたが、私はYouTubeチャンネル「マーシャ」でがんの体験談を公開している、矢島正美と申します。
現在の診断名は「子宮体がんⅡ+卵巣がんⅣB期」の重複がん患者です。
実は不正出血の前にも頻尿があり、半年以上前からおかしいと感じていました。子宮頸がん検診も、2015年の脱サラをきっかけに受けていませんでした。みなさまは、子宮頸がん検診を受けていますか?
2.治療について:治療方針をどのように決定したか?検索した情報サイトがあれば教えてください
大学病院で「子宮体がん」の疑いがあると言われた時、「父の大腸がんと同じく、私の人生は、ここで終わるのか」とぼうぜんとしました。
そこで私の心は揺れ動きました。「もう積極的な治療はしなくて自然に旅立てれば、いいかな」という諦めの気持ちと、「あれ、私はこれで人生を終えて、本当に後悔しないのかな」という迷いの間で葛藤しました。
しかし、2つのことで治療に向かうことに決めました。
一つは親友の励まし。もう一つは「カロリーナさん」というがんの先輩からのアドバイスです。この執筆のバトンを渡してくださったカロリーナさんは、医学の進歩や治療しながら働く人々の存在を教えてくれました。
参考にしたサイトは、がん情報サービス(国立研究開発法人国立がん研究センター)、がん防災チャンネル(押川勝太郎先生)、卵巣がん体験者の会スマイリーなどです。
3.がんを体験したからこそわかったこと、伝えたい思いを教えてください
「抗がん剤は毒」「ステージⅣは末期がん」は、誤った情報でした。古いドラマの影響なのか、私はがんもがん治療も何も知らないことを知りました。
治療を始めてみると、意外にも生きるのが楽になりました。幼い頃から多動症で人付き合いが苦手だった私ですが、がんになって、あと数か月の命かもしれないと思った時に、「このままの自分でいい」と受け入れられるようになったように感じます。
朝、目が覚めて生きていることへの感謝の気持ちも芽生え、小さな幸せに気づけるようになりました。
積極的な治療を受けなければ、こんな新しい自分に出会うこともなかったでしょう。支えてくれたみなさまへ感謝の気持ちでいっぱいです。これからも、がんを恐れすぎず、かといって侮ることもなく、自分らしく過ごしていきたいと思います。
実は、治療中は匿名でブログに愚痴をこぼしていました。だからネット上にはネガティブな情報があふれているのかと納得です。そこで、今は元気ながんサバイバーとして、ブログやYouTubeでポジティブな発信を続けています。
また、月に一度の患者会や年に一度のイベントも開催し、がんについてざっくばらんに話せる場づくりにも励んでいます。どこかでお会いできましたらうれしいです。
がんという病気はかなりやっかいで、一人で乗り越えるのはしんどそうなので、一緒に歩める仲間を募集しています。
BLOG「おひとりさま卵巣がん マーシャ」:https://solowell.jp/gan/ YouTubeチャンネル「マーシャ」:https://www.youtube.com/@marsha_solowell X「マーシャ」:https://x.com/marsha_solowell
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