群馬県施設別生存率 群馬県立がんセンター 2014-2015年症例

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全体について

院内がん登録の目的は、がん医療の提供を行う病院において、そのがん医療の状況を的確に把握することです。そのため診療が行われたがんの罹患、診療、転帰等に関する詳細な情報を記録し保存します。登録対象はその施設での新規の診断症例、または他院で診断された初診症例(初発例・再発例を含む)です。またこれには治療を行わない経過観察例も含まれます。
院内がん登録を行うメリットは、以下の3つです。
1. 患者さまへの的確な情報の提供と治療の意思決定を支援する。
2. 複数の医療機関が同じ方法で登録することにより、各病院のがん治療の方法や特徴を比較できる。
3. 医療従事者にとっては、自らの診療行為の科学的評価と最善の方法を検討する材料となる。
生存状況把握割合は、病院ごとのこの登録の正確性を示す大切な指標です。生存状況把握割合が高い施設は、しっかり予後調査が行われていることを意味します。
各病院の各がん種の治療成績をみるため、生存率を比較することがあります。しかし、1)病院ごとに年齢分布や全身状態の異なる患者さんを診ていること。2)根治的な治療から緩和的薬物治療のみ、経過観察が混在していること。3)また、全国がん登録の症例数に比べてハイボリュームセンターであっても少数であるため、95%信頼区間が広いこと、以上によって、病院ごとを比較して診療の質の差を判断することは、現実的に難しいと思います。
当院は地方の都市部にあり、比較的住民の移動が少なく、また定期的な予後調査を行なっているため、生存状況把握割合が99%以上を確保され、正確性の高いデータをお示しできました。

当院の各がん種のデータに言及します。

胃がん

胃がんの登録数は474例。県内登録数の20%を占めています。ステージごとの実測生存率は、全国平均と差がありません。全体の実測生存率がやや低い理由は、ステージIVの症例割合が多く、緩和的化学療法が主に行われているためと考えます。

大腸がん

大腸がんの登録数は483例。県内登録数の18%を占めています。ステージごとの実測生存率は、全国平均と差がありません。観血的な治療から薬物療法まで、適切に行われていると考えます。

肝細胞がん

肝がんの登録数は84例。県内登録数の12%です。このがん種は、基礎疾患に肝硬変があるか否かが大きく予後を左右します。ここに示したデータからは、当院の治療を評価することは難しいと考えます。

非小細胞肺がん

非小細胞肺がんの登録数は297例。県内登録数の15%を占めています。ステージごとの実測生存率は全国平均と差がありません。全体の実測生存率が低い理由は、ステージIII、IVの症例割合が多く、緩和的化学療法が主に行われているためです。

乳がん

乳がんの登録数は473例。県内登録数の25%を占めています。ステージごとの実測生存率は全国平均と大差はありませんが、ステージIII、IVでやや良好でした。薬物療法は積極的に取り組んでいる成果の可能性があります。全体の実測生存率がやや低い理由は、やや高齢である60歳代の症例割合が多いためと思われます。

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